2014-11-29

Dories - Stripped

モントリオールで活動するDories。現在のメンバーはJosef McGuigan、Aidan O’Reilly、Chris Hauer、Spencer Curtisの4人でこの編成になったのは2014年ですが結成自体は2012年。今までbandcampなどで曲をアップしたりしていましたが、カセットテープとデジタルでEgg Paper Factoryから10月にリリースされたこの「Stripped」が彼らのフルデビュー作となるようです。6曲入り。
#1"Miniatures"はミニマルなリズムが根底にあってそこからひりひりとしたギターサウンドが大胆に盛り込まれるのが印象深い。#2 "Drip"ではパワフルな部分が突然飛び出し、#5 "Small Circles"ではローテンポから後半一気に加速する。時に壊れそうな程儚く響くメロディ、時に鋭くダイナミックだ。1曲の中で様々に変化するポストロック的な感じだが、その高低差が彼らの場合ぐっと凝縮され非常に明快。一見ランダムな様でしっかりと構築されたメロディとポップさが魅力かもしれない。要素が多くてもまとまりがある。でもやはりこうだと思ってもスルっとかわされる様な展開が全く掴めないのが聴いていて非常にワクワクする。動静の切り替えがなめらかで美しい#6 "Weaving Baskets"も必聴。
レコーディングは今年の2月で携わったのがRaff McMahan (Telstar Drugsのメンバー)というのも納得。新しい世代と言うかカルガリーとモントリオール、ビクトリアなどでこういった柔軟なセンスを持つバンドが同時多発的に続々と出て来ている気がする。今後もDoriesはもちろんその周辺にも注目。
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Egg Paper Factory : Cassette/Digital [released]October 11, 2014
bandcamp 

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2014-11-22

Plastic Factory Records - Meet the Factory

Plastic Factory RecordsはモントリオールのGregとMikeによる新しいレーベル。今年の3月にNap Eyesの「Whine of the Mystic」から始まり、それに続く8月にはこのLP2枚組のコンピレーション「Meet the Factory」をリリースしている。 
モントリオール、ハリファックス、ビクトリア、ニューヨークなどの出身、全20バンドから1曲ずつ入っているのだが曲目を見るだけでもレーベルの主宰者2人が関係した、もしくは周辺のバンドが集まっているのだろうなと想像が出来る。と、言うのもMikeはEach OtherのメンバーでありHomeshake、Un Blonde、Play Guitar、Nap Eyesなどはもちろん、彼らと繋がりの強いバンドが多い。自身のバンドもアルバム未収録の#14 "Buyer Be Brave"が収録されている。全体的に共通するのは軽やかでポップ、でもこだわりがしっかりある味わい深いユニークな楽曲が目白押しという印象。さりげなく変化球みたいな感じがして面白い。気のせいだろうか各バンド本来の雰囲気と今回は少し違う様にも思えた。(インナースリーブにはそれぞれの曲のレコーディングした場所などが記載されている)コンピレーションなのであれこれ聴きながらデジタルでも存分に楽しめるのだがこうやってフィジカルとしてLPを出す所が良いと思うし、がっつり聴けるのも嬉しい。暖かみのあるアートワークもどこかこの界隈のバンドの雰囲気が垣間見える気がした。 
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Plastic Factory Records : LP/Digital [released]August 6, 2014 
 
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(※来年1月に同じくこのコンピにも収録のEolaと共に来日しますね!)Homeshake - I Don't Play

Hand Cream - OK OK OK

Freelove Fenner - Ursula Major

Fake Buildings - Matador Records

Each Other - Buyer Be Brave


2014-11-18

Monomyth - Saturnalia Regalia!

カナダ、ハリファックスのMonomythの今年7月末にリリースされた待望のデビューフルアルバム「Saturnalia Regalia!」
これまで出して来たEPなどにあったシューゲイザー的な部分はあくまで曲の一部の要素として収まっているのが意外。 それによりアルバム全体に統一感が生まれている。彼らはムードだけでごまかさずにメロディとハーモニーを重視したかったかもしれない。それは自らの名前が付いた#1 "(Theme From) Monomyth"からも感じられる。シンプルといえばそれまでなのだが、全体的にほのぼのとした独特のテンポを持っている。まったりサイケ風な#2 "Pac Ambition"で特に顕著だ。#3 "Candleholder"ではメロディは軽やかで明るいトーンなのに時々チクチクと引っかってくる甘酸っぱさも印象的でとても良い。居そうで数少ないバンドだと思う。まだデビューアルバムだがこの部分はこの先強い特徴かもしれないし、勝手な意見を言わせてもらうならばぜひ持ち続けて欲しい。ただその素直さは聴く人を少しばかり限定してしまうかもしれない。(もちろんそれはそれで良いと思う)#7 "Patsy"はアルバムの中でもひと際ロマンティックだ。12星座があしらわれたケーキのアートワークが意味する所は不明だがなんとなく合っている様に思えて、生活感のあるドリーミーな雰囲気が漂う。 それに憂いを帯びつつ加速する#5 "Medicine Man"ではパワーポップ感があるし、#8 "The Big Reveal"のしっとりとしたフェードアウト感も美しい。 
どことなく地元愛が強いのかもしれないが、そういえばハリファックスはSloanの出身地だと言う事もなんとなく頭に入れながら。いや、あれこれ考えずに素直に聴くのが一番。そんな居心地の良さも有りな一枚。
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Mint Records : LP/CD/Digital [released]July 22, 2014 
bandcamp[released]July 22, 2014
 
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Patsy • MONOMYTH from Seth Smith on Vimeo.

ちなみにこのビデオの監督のSeth Smithは同郷のバンド、Dog Dayのメンバーでもありますね。